5月の花粉症の意外な“真犯人”とは?

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2026.05.18

今年も長野市内の河川敷がニセアカシアの白い花で美しく染まる季節になりました。当院の周辺でも爽やかな甘い香りが漂い、初夏の訪れを感じます。
しかし、この時期になると毎年のように患者さんから「先生、あの白い花(ニセアカシア)が咲き始めると鼻水と目のかゆみが止まらなくなるんです」というご相談をいただきます。
実はこれ、「ニセアカシアの濡れ衣」なのです。
今回のコラムでは、5月の花粉症の“本当の正体”についてお話しします。

 

理由その1:ニセアカシアは花粉を飛ばさない

結論から申し上げますと、ニセアカシアが原因で花粉症になることは非常に稀です。
植物には、スギやヒノキのように花粉を風にのせて遠くまで飛ばす「風媒花(ふうばいか)」と、ニセアカシアのように虫に花粉を運んでもらう「虫媒花(ちゅうばいか)」があります。
ニセアカシアは上質なハチミツ(アカシア蜂蜜)の蜜源として有名な通り、強い香りと蜜でミツバチなどの昆虫を引き寄せます。そのため、花粉は重く粘り気があり、風に舞って空中を大量に浮遊するような構造にはなっていません。木の下で直接花粉を浴び続けるようなことがない限り、体内に吸い込むことはまずないのです。

 

理由その2:足元に潜む「真犯人」

では、なぜニセアカシアが咲く時期に目や鼻の症状が悪化するのでしょうか?
その真犯人は、ニセアカシアの木ではなく、皆さんの「足元」に生い茂っています
正体は、「カモガヤ」や「ハルガヤ」といったイネ科の雑草です。
ニセアカシアが満開を迎える5月中旬〜下旬は、ちょうどこれらイネ科雑草の飛散ピークと完全に一致します。
しかも、長野市を流れる千曲川や犀川の広大な河川敷や土手沿いは、ニセアカシアの群生地であると同時に、イネ科雑草にとっても絶好のパラダイスになっています
視界に飛び込んでくる見事な白い花と強い香りのせいで、どうしてもニセアカシアが犯人に思えてしまいますが、実際にアレルギーを起こしているのは、その陰でひっそりと花粉を飛ばしている足元の雑草たちなのです。

 

イネ科の雑草「カモガヤ」

 

5月のイネ科花粉症、どう対策する?

スギ花粉は山から何十キロも飛んできますが、イネ科花粉は背丈が低いため、「生えている場所から数百メートル以内」にしか飛びません。そのため、対策の基本は「近づかないこと」です。

• 河川敷や土手沿いのウォーキング・ランニングは時間やルートを選ぶ
• 草刈りをしている場所には近づかない(刈り取られた直後は一気に花粉が舞います)
• 帰宅時は、玄関前で服についた花粉をしっかり払い落とす

 

「スギの時期が終わったのにまだ鼻がムズムズする」「5月に入ってから急に目が痒くなった」という方は、イネ科アレルギーの可能性が高いです。
当院では、原因を特定するアレルギー検査(血液検査)や、症状をラクにする内服薬・目薬のご処方も行っております。どうぞお気軽にご相談ください。
ニセアカシアの花は、長野では天ぷらにして親しまれる初夏の味覚でもあります。濡れ衣を晴らして、季節の風物詩として純粋に楽しみたいものですね。

コラム執筆

更水医院院長 清水慎介

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