私の大好きな漢方薬シリーズ4 当帰芍薬散
2025.10.20
漢方薬には女性専用とされるものがいくつかありますが、その代表格がこの当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)です。女性ホルモン調整作用を持つため月経関係のトラブルにまず試したいお薬で、これのみで随分と腹痛が軽くなる方がいます。
さらに痛みが強い場合には月経期間中のみ前回ご紹介した芍薬甘草湯を、それ以外のときに当帰芍薬散を飲むという方法もあります。まだ身体が十分に出来ていない若い女性の月経痛には当帰建中湯(とうきけんちゅうとう)の方が良い場合もあります。

当帰芍薬散は妊娠中の腹痛にも内服が可能で、流産を予防する効果もあるとされています。閉経後の女性でもこの薬で体調が良くなる方がたくさんいらっしゃいます。特に下半身の冷えに対しての効果が高く、喜ばれます。
この薬がよく効く方の特徴は、浮腫と冷えです。体力が弱く、貧血気味で頭痛やめまい、肩こりなど様々な訴えがあり、舌には歯型がつくような女性にはピッタリ合う薬です。
以前にある医師が漢方薬の講演で当帰芍薬散と同じく女性専用漢方の桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)が効く人について、色白の美人タイプには当帰芍薬散で色黒のがっしりタイプに桂枝茯苓丸と表現したことがありました。
たまたま講演を聞いていた女性の医師が質問に立ち、『先生私はどちらのタイプでしょうか?』と尋ねました。どう見ても桂枝茯苓丸タイプの方でしたが、その先生は困った挙句『うーん先生の場合は。。。当帰芍薬散のようでもあり、桂枝茯苓丸のようでもあり。。。』とお茶を濁したそうです。
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