私の大好きな漢方薬シリーズ8 葛根湯

2025.11.24

今回取り上げるのは日本で一番有名な漢方薬、葛根湯(かっこんとう)です。風邪の薬として広く知られていますが、実は飲み方にちょっとしたコツがありますのでご紹介します。

 

まず一つめはできるだけ風邪の初期に飲むこと。ゾクっと寒気がして風邪をひいたかな?と思った時がベストのタイミングです。

 

そして二つめは身体を温めるために必ず白湯や温かいものと一緒に摂ること。内服後しばらくしてじんわりと汗が出てくれば効果あり。3つめはもし胃や心臓に問題のない丈夫な方なら、初日は2〜3時間毎に葛根湯を繰り返し多めに飲んでしっかり汗をかくこと。これで風邪の症状が早く楽になります。

 

一方で残念ながら葛根湯は喉の炎症に対してはあまり効果がないため、当院では喉の症状が強い場合には桔梗石膏(ききょうせっこう)を同時に処方しています。
風邪以外にも葛根湯がとても役に立つ場面があります。それは肩こりと頭痛です。首から肩が凝り、さらに後頭部が重くなるタイプの緊張型頭痛の方で、葛根湯の頓服が効く方が大変多くいます。これは葛根という生薬が肩まわりの筋肉をほぐしてくれるためで、極端に胃が弱いタイプの方には葛根湯から麻黄を抜いて胃に優しくした桂枝加葛根湯(けいしかかっこんとう)というお薬もあります。

 

葛根湯は薬局でも簡単に手に入る薬ですが、心臓などに問題のない比較的体力がある方に使う薬であること、また風邪の症状が長引いていたり、すでに汗をかいている状態には向かないということに注意してお飲みください。

よく読まれている記事

1
2025.07.28

劇的に認知症の症状が改善した90代女性

2
2025.09.08

「内視鏡検査はどこまで楽にできるか?」 その1 炭酸ガス(二酸化炭素)のお話

3
2025.09.29

私の大好きな漢方薬シリーズ1 補中益気湯