私の大好きな漢方薬シリーズ5 呉茱萸湯
2025.10.27
頭痛には様々な種類がありますが、頻度が高いものが緊張型頭痛と片頭痛の2つです。肩こりから始まり首や頭の筋肉の緊張で起こる緊張型頭痛は、「頭が締め付けられるような」「頭に何かかぶっているような」痛みが特徴でこれには葛根湯(かっこんとう)もしくは桂枝加葛根湯(けいしかかっこんとう)がよく効きます。

一方の片頭痛は頭痛以外に多彩な症状を伴うことが特徴で、前兆で目がチカチカしたり、めまいや吐き気を伴う拍動性の激しい痛みのため日常生活に支障をきたします。片頭痛にはトリプタンという特効薬がありますが、この薬は症状が始まってすぐに飲まないと効果が出ないことと、薬価がすごく高いのが欠点です。
漢方薬の呉茱萸湯(ごしゅゆとう)は発作が完成してからでも効果があり、何と言っても非常に安いのが利点です。呉茱萸湯を予防的に内服しているとトリプタンを使う頻度を減らすことができ、また発作時の2包頓服も有効です。呉茱萸湯が効く人の特徴は肩こりで胃が弱く、手足が冷えやすい女性です。逆に暑がりの人には合わない薬です。
慢性頭痛の方の中には市販の頭痛薬を飲みすぎてさらに症状を悪化させていることが少なくありません。このような場合漢方薬に切り替えることで薬物乱用の悪循環を断ち切り、症状が改善することが多くあります。
呉茱萸湯以外にも桂枝人参湯(けいしにんじんとう)や川芎茶調散(せんきゅうちゃちょうさん)、五苓散(ごれいさん)など頭痛に効く漢方薬は他にもあり、市販薬を頻繁に飲んでいる方は一度これらを試してみてはいかがでしょう。少なくとも漢方薬では飲みすぎて薬物乱用頭痛になる心配は全くありません。
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