合言葉は「ウインタミンLOVE」
2026.01.06
コウノメソッドで欠かせない薬
こんにちは、院長の清水です。
当院では河野和彦医師が提唱するコウノメソッドによる認知症診療を行っています。コウノメソッドには3つの基本方針があり、その一つが「介護者保護主義」です(残りの二つは、「家庭天秤法」と「サプリメントの活用」)。これは患者さんと介護者のどちらか一方を救うのなら、介護者を優先するという考え方です。
認知症が他の病気と違うのは、進行すると必ず介護者が必要となる点です。介護者が倒れてしまっては、認知症診療は成り立ちません。このためコウノメソッドでは介護者が楽になるように、怒りっぽく元気すぎる患者さんには積極的に抑制系の薬を使います。
しかし高齢の認知症患者さんに抑制系の薬を出す時には、過鎮静、眠気、歩行障害などの副作用の心配が常にあるため、その種類と量には細やかに気を配る必要があります。
コウノメソッドにおいて、認知症患者さんが興奮や攻撃性が顕著な時によく使う薬が、今回ご紹介する「ウインタミン」です。古くから統合失調症に使われる薬ですが、認知症診療では通常の10分の1以下の少量で使います。

認知機能の改善よりも大事なこと
ある時、当院に通院中の90代のアルツハイマー型認知症の女性について相談がありました。この方はデイサービスで不穏になり攻撃的な言動が見られ、家では介護者の娘さんと口論になり、暴言や物を投げるなどの危険行動で困っているとのことでした。
その方に私が処方したウインタミンは、朝4mg(細粒0.04g)、夕6mg(細粒0.06g)というごく微量でした。それでも内服後にはデイサービス中の不穏状態は激減し、言動・表情が穏やかになったと報告がありました。自宅での攻撃性も以前より落ち着いたようです。
私たちは認知症の治療で最も大事なことは、認知機能の改善ではなく、患者さんもご家族も共に穏やかに笑顔で生活できることだと考えています。
そのために抑制系の薬はとても大切なものです。特にこのウインタミンは絶対に欠かせない薬とされ、コウノメソッドでは「ウインタミンLOVE」が合言葉になっています。
詳細はこちら ▶当院の認知症・もの忘れ外来について
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