いびきをかく人は要注意! 睡眠時無呼吸症候群のおはなし

その他

2026.06.02

「よく眠れている」は本当ですか?

「夜ちゃんと寝ているのに日中眠い」「朝起きても疲れが取れない」「パートナーからいびきがひどいと言われる」——そんなお悩みはありませんか?
それ、睡眠時無呼吸症候群(SAS)のサインかもしれません。
今回は多くの方が見逃しているこの病気について、わかりやすくお伝えします。

 

実は「国民病」——でも、ほとんどの人が気づいていない

睡眠時無呼吸症候群は、眠っている間に呼吸が何度も止まる病気です。

・推定患者数(成人) 約900万人
・成人男性の有病率 約1割(女性はその約半数)
・実際に治療を受けている割合 3%未満

 

患者数は推定900万人以上にのぼりますが、診断・治療を受けているのはごく一部に過ぎません。眠っている本人は気づきにくく、「疲れているだけ」と見過ごされがちなのが現状です。

 

放置すると怖い——低酸素が心臓・血管をじわじわ傷める

睡眠中に呼吸が止まるたびに、血液中の酸素濃度が低下します(低酸素状態)。
1時間に何十回も繰り返されるこのサイクルが、心臓や血管に静かにダメージを与え続けます。

 

主なリスク

• 高血圧(治療抵抗性高血圧の原因として最多)
• 不整脈・心房細動(脳梗塞の一因にも)
• 狭心症・心筋梗塞
• 脳卒中
• 就寝中の突然死
• 糖尿病・メタボリックシンドロームの悪化
特に見落とされがちなのが突然死のリスクです。未治療のまま放置した場合、夜間の心臓突然死リスクが数倍になる という報告があります。

 

Ht値が高い方はご注意を

最近、健康診断や人間ドックでヘマトクリット(Ht)値が50%以上、かつ非喫煙者の方に、SASが多く見つかるケースが増えています。
ヘマトクリットとは、血液中の赤血球の割合を示す値です。慢性的な低酸素状態が続くと、体は酸素を運ぶ赤血球を増やそうとするため、この値が上昇します。
タバコを吸わないのにHt値が高い場合、「睡眠中に低酸素になっているサイン」である可能性があり、当院では積極的にSASの精査をお勧めしています。

 

検査は自宅でOK——思ったより、ずっと簡単です

「入院が必要?」「大がかりで面倒そう」——そんな心配は不要です。多くの場合、自宅でできる簡易検査から診断まで進められます。

 

① 外来受診・問診
症状や生活習慣をお聞きし、Ht値など検査値も確認します。

② 簡易ポリグラフ検査(自宅で実施)
小型の機器を手首や指につけて、いつも通り眠るだけ。翌朝返却すれば検査完了です。入院は不要です。
③ 結果に応じた対応
重症と判断された場合(AHI 40以上)は、入院精密検査を経ずに直接CPAP療法を保険適用で開始できます。
④ CPAP療法でぐっすり眠れる
鼻にマスクをあてて空気を送り込む治療法です。慣れると快適で、症状が劇的に改善する方が多くいます。

 

こんな方は要注意! 1つでも当てはまれば受診を

• いびきをよくかくと言われる
• 朝起きたとき、頭が重い・疲れが取れていない
• 日中、会議中や運転中でも強い眠気がある
• 夜中に何度もトイレに起きる
• 健診でHt値が高いと言われた(非喫煙者の場合)
• 肥満気味・首が太い・顎が小さい
• 高血圧の薬が効きにくいと感じている
男性・中高年・肥満の方はリスクが高いとされますが、痩せている方・女性・若い方にも決して少なくありません。顎の形や気道の構造が関係するため、体型だけでは判断できないのです。

 

おわりに——「眠れている」は「安全」ではない

睡眠時無呼吸症候群は、本人が気づかないうちに心臓・血管をじわじわと傷め続ける病気です。しか
し、正しく診断・治療すれば、日中の眠気が改善し生活の質が上がるだけでなく、心臓病や突然死のリスクを大きく下げることができます。
いびき・日中の強い眠気・健診でHt値50%以上(非喫煙者)の方で、「もしかして自分も?」と感じたら、まずはお気軽に当院にご相談ください。

コラム執筆

更水医院院長 清水慎介

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