美味しい魚の季節ですが…「アニサキス」にご用心!

内視鏡検査

2026.06.15

アジやカツオなど、新鮮なお刺身が恋しくなる季節がやってきました。今回は、激しい腹痛を引き起こす厄介な寄生虫「アニサキス」についてお話しします。

 

私が北海道・根室市の病院で研修医として勤めていた頃、名物のオヒョウ(体長1メートルを超えることもある巨大なカレイの一種)のお刺身が原因で、毎週のように胃カメラでアニサキスを取り除いていました。

 

信州に戻ってからは、流通の事情もあってしばらくはほとんど見かけなくなりましたが、近年は物流の発達により、ここ信州新町の当院でもときどきアニサキスを目にするようになりました。

 

実際の治療の様子がこちらの胃カメラ画像です。

胃の壁に刺さるアニサキス:白い糸状の虫が胃の粘膜に潜り込もうとしています。

 

鉗子(ピンセット)での捕獲:内視鏡の先端から出したピンセットでアニサキスをしっかり捉え、引き抜きます。

 

取り除いた瞬間、それまでの激痛が嘘のようにスッと消えていく——そんな劇的な瞬間を、胃カメラ越しに何度も経験してきました。

 

「アニサキスが胃を噛むから痛い」と思われがちですが、実は痛みの主な原因は「アレルギー反応」です。そのため、初めて食べたときは症状が出ないことが多く、体内に抗体ができた2回目以降に激しい症状が現れるのが特徴です。また、アニサキスが胃を通り抜けて小腸にまで達した場合、胃カメラが届かないため入院が必要になることもあります。油断は禁物です。

 

特に気をつけたい食材はアジ・サバ・イワシ・サンマ・カツオ・イカ(スルメイカ)です。スーパーで手軽に買えるものばかりなので注意が必要です。一方、長野が誇るブランド魚「信州サーモン」はニジマスの交配種で淡水養殖のため、アニサキスの心配はありません。また、スーパーで「サーモン」として売られているノルウェー産などの養殖サーモンも同様に安全です。ただし「生秋鮭」は天然もので生食用ではないため、刺身として食べるのは危険です。

 
 

予防には次の3つが有効です。

・新鮮な魚を購入したらすぐに内臓を取り除く(死後に身へ移動するため)
・目視で白い糸状の虫がいないかよく確認する
・70℃以上で加熱するか、-20℃で24時間以上冷凍する

 

「ワサビや醤油・お酢(しめ鯖)で死ぬ」「よく噛めば大丈夫」というのはいずれも誤りです。

 

生魚を食べた数時間後に激しいみぞおちの痛みが現れたときは、我慢せずにご来院ください。正しい知識を持って、海の恵みを安全においしく楽しみましょう。

コラム執筆

更水医院院長 清水慎介

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